日本社会のメンタル課題

健康

現代社会では、職場でのパワーハラスメントや孤立、過重労働の増加などさまざまな問題が発生し、働く人の精神的ストレスが増幅していると言われています。

 

そして2020年に起こった新型コロナウイルスの流行も、人々に心の問題を与え続けてきました。

 

かつての日本社会では「うつ病は甘え」「心を病むのは弱いから」と、メンタルに傷を負った本人を責める傾向がありました。

 

しかし現在、うつ病の人は120万人、さらには1000万人以上がうつ予備軍と言われています。

 

それは日本人のメンタルに起こっている重大な危機と言っていいでしょう。そしてこの危機とは、人間関係がうまくいっていないことで起こっているのです。

 

戦後めざましい勢いで経済が成長し、一時は世界第2位の経済大国にまでなった日本ですが、心が満ち足りた国になることはできませんでした。

 

それはつまり、日本全体で人間関係に問題がある証拠なのです。

 

ストレス増大に苦しめられているのは民間のビジネスパーソンだけではありません。

 

公立学校の先生もメンタルに不調をきたす方が大変多く、2021年度の調査では精神疾患による休職者が5897人にのぼり、過去最高との報道がありました。

 

こういった現実に「甘え」だとか「心が弱い」などと言っていても何の解決にもなりません。

 

2015年からは50名以上の企業を対象にストレスチェック制度が義務化されるなど、政府も本格的なメンタルヘルス対策を講じていますが、これ以上この事態を見過ごせば労働人口の喪失は勢いを増し、最悪の場合、自殺者の増加につながりかねません。

 

いま、私たちは真剣に、心に起こっている問題の深刻さを重く見て、解決していく必要があります。

 

厚生労働省の資料によると、2022年において自殺者が発見された曜日は月曜日が最も多く、71.8人でした。

 

自殺者数は週末に向けて減る傾向にあり、土曜日は53.7人、日曜日51.9人と、月曜日への大きな偏りが目立ちます。また、祝日や年末年始に限っては48人と、明らかに自殺者数が少ないのです。

 

特に現代の日本において、若者の死因第1位は自殺です。

 

これからの輝かしい人生を歩むはずの若者が未来への希望を失い、生きる意味を見いだせす、自ら命を絶ってしまう……。これほど辛いことがあるでしょうか。

 

自殺にまで至るにはそれぞれ理由があり、経済や生活問題、育児や介護疲れ、いじめなど様々な要因が指摘されています。

 

亡くなられたご本人も苦しかったことでしょう。そして大切な人を失ったご遺族の心痛も、計り知れないものがあるでしょう。