あなたの周囲、環境とは、あなたの心が映し出された世界です。
では、別の角度から環境のことを見てみましょう。時間と空間についてです。
この世界には、私たちが普段当たり前のように使っている「時間」という形のないものがありますね。
昨日の出来事は過去、今の出来事は現在、明日の出来事は未来というように使い分けたり、そのように時間のことを認識したりしていると思います。
その私たちが把握している時間とは、実はあくまでも私たち人間が認識している、五感や経験という独自フィルターを通してとらえている世界のことなのです。
また少し考えてみましょう。
私たちが使っている時間という概念では「今」という言葉を声に出した瞬間、すでに今ではなく過去になってしまいます。
「今」の「い」と「ま」の間の時間……「ま」を声に出した瞬間に「い」は過去になります。
さらに「ま」と発した瞬間の時間を百分の一、一万分の一、一億分の一、一兆分の一……というように細切れにしていっても百分の一、一万分の一、一億分の一、一兆分の一は過去になります。
つまり「今」といっても「今」という瞬間の時間はすぐに過ぎ去っていくのです。
そのようにみていくと、私たちが認識している時間というものは本当は存在していないことになります。
このように時間が存在しないということは、私たちが普段思っている過去、また未来もないことになります。
私たちは今見たもの、感じたものを記憶して、それを積み重ねて自分の過去を蓄積しているにすぎません。
過去とは記憶を蓄積できる私たちの肉体があって初めて存在するといえるのです。
そして、今見て今記憶したものと同じもの、似たものが今見えているから今があると思うわけです。
さらに、今見たものと同じようなことが次の瞬間にまた見えることがすぐ予想できるからこそ少し先、さらにもっと先の未来の想像ができるのです。
つまり、過去、現在、未来という時間は、私たちの感覚がとらえているにすぎないものであり、肉体があって初めて存在しているかのように認識できるものなのです。
空間についても考えてみます。
例えば、あなたが部屋でこの本を読んでいるとします。
その部屋は一つの空間とみなされますが、部屋の壁をきれいに壊してなくしてしまうと、その部屋という一つの空間はなくなります。
また、現在私は東京・八重洲の事務所にいますが、その部屋の壁を取っ払って、どこにいるのかを考えてみると、私は東京の中央区にいる、そして東京にいる、それは関東地方にもいる、日本にもいる、アジアにもいる、地球にもいる、そして宇宙にもいるといえますよね。
私たち人間は、壁や国境を勝手に作り、ここからここまでという空間を作って生活しているにすぎません。
これも、私たちの肉体があるからこそ空間を作ることができるというわけです。
では、私は一体どこにいるのかというと、宇宙という一つの世界にいるということです。
私だけではなく、宇宙にいるすべてのものが宇宙という一つの世界にいるのです。